個人向け小口融資はかつて消費者金融の独占市場でしたが、近年、消費者金融に代わる新たな引き受け先として銀行系カードローンが注目されています。
背景には、改正貸金業法の施行や過払い返還の増加による消費者金融業界の衰退があります。
しかも消費者にとっても銀行系カードローンを利用するメリットは大きいので、今後消費者金融と比較した場合、銀行系カードローンを選択する方がますます増えてゆくことが予想されます。
銀行系カードローンを利用するメリット
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(1) 消費者金融と比較して金利が安くなる場合が多い
消費者金融会社の金利設定は通常、大手から中小まで上限利率目一杯の金利になる場合がほとんどです。(10万円以上100万円未満の融資であれば年率18.0%になります)
新規貸出しであればその傾向はさらに強くなります。
しかし、銀行系カードローンは消費者金融の金利設定よりも安く設定されている会社が多く見られます。(金利設定は各社によって異なりますが100万円未満の貸出しの場合。年率18.0%以下に設定している会社がほとんどです。)
この金利の差は、取引年数が長くなるほど、又は利用金額が大きくなればなるほど大きなものとなってきますから、比較的高額な借入や長期取引を検討している方は注目です。 -
(2) 総量規制の適用がない
平成22年6月の改正貸金業法によって「総量規制」が導入されることになりました。
総量規制とは、貸金業者等に、個人顧客の年収等を基準にその3分の1以上を超える貸付を原則禁止としたルールになります。
この総量規制は過剰貸付を抑制する目的で返済能力を超える貸付を禁止したものです。
この総量規制の導入によって消費者金融などの貸金業者は、「専業主婦」や「パート」など、自身の収入が少ない方への貸出しを制限されることになりました。
総量規制はあくまで本人自身の収入を基にしているため、配偶者にいくら収入があっても自身に収入がなければ原則、借入できません。(ただし、配偶者の同意があれば、配偶者の借入も年収も本人と合算したもので計算して3分の1まで借入することが可能です。)
総量規制の導入によって専業主婦やパートなどは消費者金融のキャッシング市場から退場を余儀なくされました。
しかし、銀行系カードローンは貸金業法の適用は受けないので総量規制に制限されることはありません。よって専業主婦など自身の収入がない方も法律で借入を制限されることはありません。(法律の制限はありませんが、各カードローン会社の貸出基準で制限を設けている場合もあります。)
もちろん専業主婦への貸出しを推奨しているわけではありませんが、一般的に家計のやりくりは女性が行うことが多く、女性の消費活動を一律に抑制するのはナンセンスと言えるでしょう。
このように銀行系カードローンは、総量規制によっての一律の足切りはなく、他の属性次第では利用可能となり得ます。この点は消費者金融と比較した場合、非常にメリットと言えます。 -
(3) 融資限度額が高い
一般的に銀行系カードローンの融資限度額は消費者金融に比べて高額になる場合が多くなります。
(もちろん申込者の与信評価にもよりますが限度額50万円以上の高額融資も多く可決されています。)
このことは、銀行の資金力の高さもありますが、銀行が個人向け小口融資にかなり力を入れているということの証でしょう。
また、主に系列の消費者金融会社等の貸金業者を保証会社になっているため、リスク管理が整っていることが高額融資を支える要因のひとつと言えます。
また、中には銀行系カードローンの高額融資を生かして、いわゆる「おまとめローン」として利用する方もいますが、銀行によってはおまとめ目的を禁止しているところもありますから要注意です。
(銀行系カードローンの返済方式はリボルビングの場合が多いので、「負債を段階的に減らしてゆく」という、おまとめローンの本来の趣旨とは商品の特性が異なってしまうことが原因でしょうか。)
また、これはあくまで私見ですが、銀行系カードローンの融資金額は保証会社になっている消費者金融会社等に直接申込んだ場合に比べ高額な場合が多いとも思われます。 -
(4) メリットはまだまだあります
従来、銀行の個人への融資は、住宅ローン・マイカーローン・リフォームローンなどの「目的ローン」がメインでした。
しかし、近年はフリーキャッシングにも力を入れており、そのサービス内容はかなり充実しています。- ・即日融資対応
- ・ATM手数料無料
- ・土日祝祭日の融資に対応
- ・リボルビングに対応
など多くの銀行がフリーキャッシングに特化したサービスに答えています。
(銀行によってサービス内容は異なります。上記のサービスに非対応の銀行もあります。)
また、同じキャッシングでも、“銀行からのキャッシング”と“消費者金融からのキャッシング”では世間のイメージは全然違います。
万が一、他の人に借入している事が知られても、銀行からの借入に対して悪い印象を持っている方は少ないので社会的に信頼を失うこともありません。
今後ますます個人向け小口融資の市場は消費者金融から銀行にスライドしていくこが予想されます。サービス内容はさらに手厚いものになってゆくでしょう。