銀行カードローンの登場
キャッシング業界で言われる消費者金融会社とは「簡易な審査のみで、担保・保証人が無くてもお金を貸してくれる」会社です。
かつては「簡易な審査による無担保・無保証のフリーローン」といえば消費者金融の専門分野でした。
それに対して銀行は「担保などを取得した上で担保評価額の範囲内での融資を行う」という、主に個人よりも法人や事業者に対する貸出しをするのが中心でした。
理由は簡単で、銀行にはそもそも消費者金融が行ってきた「簡易な審査による無担保・無保証融資」のノウハウがなかったというのがその理由でした。
一方消費者金融会社は、無人契約機の大量導入や盛んなテレビCMなどで、かつての「高金利で取立てが怖い」というイメージをなんとか払拭して、新しいユーザー層の獲得を図ろうとしていました。
しかし再び一部業者の過酷な取り立て行為が社会問題になったこともあり、業界のイメージダウンは避けられず行政の規制も厳しいものになってしまいました。
複数の要因が絡み合って発生した銀行のカードローン商品
そのような社会状況下、
- ・個人融資に参入したい銀行
- ・業界イメージが悪く規制強化されつつある消費者金融会社
という両者の思惑が重なり開発された商品が、いわゆる銀行の「カードローン」商品です。
その特徴は、「窓口」は銀行ですが、消費者金融会社等が「保証会社」になっているという点です。
これにより、銀行は消費者金融の持っている個人融資のノウハウを活用することが可能となり、消費者金融会社は銀行のブランド力によって優良顧客を集客することが可能になりました。
かつての消費者金融は「グレーゾーン金利」と言われる、利息制限法以上、出資法未満の金利帯で貸出しを行っていました。(平成22年の改正まで出資法金利の上限は29.2%でした。)
当時、ほとんどの貸金業者が上限金利の29.2%に近い金利設定での貸出しを実施していましたが、平成22年6月の改正貸金業法施行と出資法改正によって、上限金利は利息制限法の水準と同等の年率20%まで引き下げられました。
また、個人顧客に対して原則、年収の3分の1以上の貸出しを制限する「総量規制」も導入されました。
この法律の施行によって、体力のない中小の消費者金融会社は、事業縮小や廃業に追い込まれ、また「過払い返還」がこれに輪をかけて、消費者金融会社の数は激減しました。
(平成25年では、2,169社で、ピークの昭和61年の47,504件の5%以下にまで減少しています。)
このような消費者金融会社の衰退によって、市場は消費者金融に代わる受け皿を求めました。
そして、現在のカードローン商品への需要が高まっているという訳です。
個人顧客への融資を消費者金融から銀行へスライドしてゆく流れは、国策とも言われており、今後キャッシング市場はカードローンへさらに加速してゆくことが予測されます。